クラウ・ソラスの輝き

 それでもどうにか補えないものかと、自由を得る十五歳までベリルは自らに課せられた勉強を続けていた。

 今でも考えさせられる部分は多々あるものの、まずまずしのいではいる。

「場所は?」

 ダグラスは出されたチキンドリアを食べながら再び訊ねた。

「南アフリカ」

「りょうかい」

 湯気の立つホワイトソースに包まれた熱いチキンに息を吹きかけ口にほおばる。

 ベリルはそれを見ながら自分の分の料理を少年の向かいの席に並べた。

「麻薬製造の組織を叩く」

 内容を付け加えたベリルと目を合わせ食事を続ける。

 きっとそうだろうと思っていたダグラスはあえて問うつもりはなかったが聞けばやはり安心する。

 ベリルは死なないと解ってはいても心配せずにはいられない。

 一人残される事が怖いのか、帰ってこないベリルに捨てられたと思う事が怖いのか。

 どちらなのかは判断しかねるけれど、ベリルならば信じられると確信めいたものだけは心の奥にあった。