下ごしらえは済ませていたので夕飯の準備をしながら料理を作り少年を一瞥(いちべつ)する。

 要領と察しの良い子ども──確かにそうだ。

 ダグラスは他の子どもと比べればかなり扱いやすいと言える。

 しかし我が儘を言わないぶん、心にため込んでしまいかねない。

 ダグラスはそうではないと思いたいが、十代の感情は複雑で全てを窺い知る事は到底ベリルには出来はしない。

 幼少の頃から自分は感情が希薄なのかもしれないと考えてはいた。

 多くの知識を持つであろう学者ですらベリルの目からは感情豊かに見えていたのだから。

 これは感情の制御といったものではなく、いくつかの欠落が見られるのではないか──そうであるならば、その部分において自身で知ることは不可能だ。