──夕闇迫る住宅街

「じゃ、じゃあ私はこれで失礼しますわ」

 試験に関する会話を少しだけ交わし、レイチェルは足取り重くベリルの家をあとにした。

 若くて綺麗でなんでもこなすベリルに自分は到底、向いていないと実感しうなだれてややよろめきつつ家路を急ぐ。

「気をつけて」

 彼女の背中を見送りダグラスに目を映す。

「いつ発つの?」

 少年は両腕を頭の後ろに回して訊ねた。

「明日の午後だ」

 レイチェルの事を上手く交わしたつもりなのか、

「ふうん」と生返事をして家に入っていく。

「どれくらい?」

「移動を含めて三週間ほどになる」

 ダイニングテーブルに腰掛けたダグラスを見てベリルはキッチンに向かう。