*小悪魔なひととき
柔らかな笑みでソファに腰を落とすベリルをレイチェルは顔を赤らめて見つめる。
ダグラスはその様子を眺めながら冷蔵庫を開いて牛乳を取り出し、グラスに注いで一気に飲み干した。
グラスを軽く水洗いして今度はソーダを注ぎ、リビングに足を向ける。
「もうすぐ試験でしょ」
レイチェルは少年を一瞥して切り出す。
「ああ、そろそろか」
その事で来たのかとベリルは納得したが、ダグラスにはこじつけにしか聞こえなかった。
ベリルの色恋沙汰のうとさは、もはや呆れるを通り越して褒めたくもなる。
レイチェルの色目にもまったく気が付いていないのだから。