「あのっ! 俺──」

 ケーキを食べ終わり、少し落ち着いたハリーは意を決して口を開いた。

「なりたいものがあって……。でも、親に反対されてて……。あのでもっ! ダグに、本当は反対されてホッとしてるんだろって言われて」

 そこまでの話でベリルはそういう事かと納得した。

 以前、知人が息子と共に尋ねてきて、

「子どもを諭(さと)して欲しい」と頼まれた時の話をこの子にしたのだろう。

 どんな風に話したのかまでは解らないが、大した事は言った記憶はない。

 それでも、彼には何か受け止めたい事柄でもあったのだろうとハリーの真剣な面持ちを見やった。