「ベリルに用があるんだってさ」

「ほう?」

「うっ!? えっ?」

 心の準備が整っていなかったハリーは突然に話を振られて目を泳がせた。

 ベリルは慌てている様子のハリーを一瞥し、ダグラスに軽く睨みを利かせる。

 偽名のスロウンではなく本名で呼んだからだ。

 ダグラスはそれに小さく肩をすくませ、

「後で説明する」と目で示した。

「ハリーも食べなよ」

 とりあえず早くケーキが食べたいのと、緊張をほぐしてやるつもりでダグラスはケーキを勧めた。

「え? うん」

 勧められて目の前のケーキを見下ろす。