「親父がそうだったから」

「殺されそうになったんでしょ!?」

「うん」

 明るく答えたダグラスに「信じられない」と目を丸くした。

 ダグラスはそんなクラスメイトに小さく笑みを浮かべて上半身を起き上げ、肩をすくめる。

「小さい頃から親父に憧れてたんだ。殺されかけたけど代えようが無かったのさ」

「だからって……」

 そんなダグラスに言葉が詰まる。

 彼の言っている事が嘘なのか本当なのか量りかねた。

「言ったでしょ、全体で見ちゃだめだって。確かに親父に殺されかけたけど、傭兵のみんながそうじゃないし、親父が傭兵だったから僕を殺そうとした訳じゃないんだ」

 傭兵だった事で殺し方にはそれなりの計画があったけれど、傭兵自体を憎む事はやはりダグラスには出来なかった。