「先に行ってて」

 帰り際、少年はベリルに言ってレイチェルに駆け寄る。

「今度、うちにお邪魔してもいいかしら?」

 彼女は遠ざかるベリルの後ろ姿を見つめてほんわりした表情を浮かべた。

 思った通りの反応に少年は苦笑いを浮かべ目を据わらせる。

「あー、やめた方がいいと思うよ」

「どうして?」

 レイチェルは首をかしげた。

「女としてのプライドが壊れるから」

「は?」

 ますます解らなくて眉間にしわを寄せた彼女に満面の笑みを浮かべた少年にレイチェルはドキリとする。

 この少年はベリルとはまた違った魅力ある容姿をしていた。