クラウ・ソラスの輝き

 ほぼこのダーウィンで休暇を過ごすベリルにとって、この家は重要な拠点ともいえる。

 近所の人からは「レイモンドさん」と呼ばれていて、表札には「スロウン・レイモンド」と表記されている。

 ダグラスは養子としてこの街に住み始めたが、ベリルは独り立ちしてからずっとこの街に居を構えていると聞かされて妙な違和感を覚えた。

 ベリルはまったくに年を取らないというのに、街の住人はどうしてなんの反応も示さないのだろうと不思議でならない。

 少なくともベリルは二十五年以上もこの街の、この家にいるのだ。

 ダグラスはこの一帯の特殊な雰囲気を奇妙に思っていた。

 最近になって知った事だが、ベリルが住んでいる周辺の住人は裏の世界に片足くらいは浸っているらしい。

 いつの間にか自然とそういう状態が形成されていた。

 それを知ったとき少年は納得したように笑みを浮かべた。