「ふうん」
質問をわざとはぐらかした。これは何か調べてるな?
ベリルが何かあるとそうする訳では無く、一年ほど寝食を共にしてようやく薄ぼんやりとだが嫌がらせとの違いが解ってきた。
ダグラスだからこその勘かもしれない。
長年、仕事で付き合いのある仲間でもベリルの思考を読むのは容易ではない。
「それで、何を調べてるの?」
一歩も譲らないという視線と同時に投げられた問いかけに、数秒ほど目を合わせたベリルは諦めたように小さく溜息を吐き出しノートパソコンを少年に向けた。
「うん? シャイニー・ブレイド? なにこれ」
画面のあと一本のナイフを差し出されて眉を寄せる。
「これローランドが投げてきたやつじゃん。──あ」
いぶかしげに見回すと刃の部分に小さく何かが刻まれていた。
目を懲らすと、
「シャイニー・ブレイド」と英語で刻まれている。