クラウ・ソラスの輝き

 色々と考えているうちに意識は遠のき、ダグラスはゆっくりと眠りに落ちた。

 そうして静かにドアが開かれ、ベリルはシーツをかけてやる。

「おやすみ」

 つぶやいて部屋をあとにすると、夜中にお腹を空かせて起きてくるであろうダグラスに夜食の準備を始めた。

 ダグラスがベリルの元に来た当初は両親の事を思い出す度に目を腫らしていたが、ベリルに心配をかけまいと必死に誤魔化しもしていた。

「厄介なお荷物」だと思われて追い出される事を恐れていたのだろう。

 あれから一年、それでもやはり楽しそうにしている家族連れには苦い顔を見せる。

 たった一年では、あの壮絶な経験から生まれた心の傷を癒す事は出来ない。

 それでも、それを背負って生きていくしかない。