「そんなの! ベリルに殺されないようにするための手段でしょ?」

「そうかもしれん。奴と初めに会ったのは五年ほど前か」

 言いながらナイフを抜きハンカチを取り出そうとしたが、すでに血で汚れている服が視界に入りナイフの刃を裾で拭った。

「一つの嘘が大きな事件に発展した」

 ピックアップトラックに足を向けて語り始める。

「どこかの馬鹿が村に財宝が埋まっているというデマを流してね」

「どこの村?」

「南米の奥深くにある村だ」

 乗り込んでエンジンを起動させた。

 その村はライフラインもなく、貧しいながらも生い茂る森と共にのどかに生きていた。