「次は頭か心臓を狙う、楽しみにしておけ」

 ローランドは下品な笑みを浮かべながら指を差して遠ざかる。

「知り合い?」

「何度かまみえた事がある」

 ダグラスは眉を寄せた。その言い方は敵対関係にあるという事だ。

 しかし、敵対関係にある人間でベリルとまともに戦って何度も逃げられる者はほぼいない。

「殺さなかったの?」

 ダグラスの問いかけに視線を外す。

 それに眉を寄せた。

「もしかして、ベリルの前では殺しはしなかったとか?」

 問いかけに小さく笑ったベリルに呆れて手で顔を覆う。