「相変わらず無駄なことしてるな」

 誰かを助けた所であんたになんの得があるんだか。

「なんだと?」

 肩をすくめて小馬鹿にしたような物言いにダグラスはカチンとくる。

 大抵の人間は何も知らずにベリルを罵(ののし)る。

 どれほどの決意を胸に秘めているのか、だからこその強さをほとんどの人間は知らない。

「よせ」

 ベリルは身を乗り出した少年を制止した。