「ローランド」

 つぶやくように発した名に、知り合いなのかと少年は眉を寄せた。

 ローランドと呼ばれた男は一瞬、鋭くベリルを睨みつけたがすぐに口角を吊り上げて不適な笑みを見せる。

「丁度いいところに的(マト)があった」

 ベリルは赤い液体の流れる右肩を押さえながら無言で見つめる。

 友人という関係ではないのは明らかだが二人の間に流れる微妙な空気に、どういったいきさつがあるのかまではダグラスには窺い知れなかった。