「どしたの?」

 少年がそんなベリルに首をかしげると、

「なんでもない」というように軽く手で示し後部座席に滑り込む。

 解りもしない未来を考えても仕方がない。

 彼が覚悟を決めたなら私も覚悟しなくてはならないのだから。

 一度、気持ちを切り替えるように瞼を閉じてノートパソコンを開きこれからの事を最終確認した。

 そして少年がピックアップトラックの背にもたれかかって周囲を眺めていると、一人の男が笑顔で近づいてきた。

「やあ、えーとフランクだ。君のチームになる」

 いぶかしげな眼差しを向けるダグラスに握手を求める。

「ああ、どうも」

 その手を握りかえし無表情に見上げた。

 金髪に蒼い目、三十代前半と見受けられる。