クラウ・ソラスの輝き

 実際での試行でなんて……。

 と思うかもしれないが、模擬戦だけでは味わえない感覚に慣れておく事は重要だ。

 よほどの危険がなければ少年を仕事に連れて行くようにしているベリルだが、必ず生きて戻れるという保証など無い。

 嬉しそうに準備を進めるダグラスを見つめながらベリルは己の心の奥を探った。

 私は恐いのかもしれない、ダグが目の前で倒れる姿を見る事が──そうなってしまうかもしれないという恐怖から逃れようとしている。

 ダグラスはセシエルの忘れ形見だ。

 彼が死んだと聞かされたとき、自分でも驚くほど心の中では強い衝撃を受けていた。

 微妙な差はあれど実の父クリア・セシエルとよく似ている。

 ダグラスの死を目の当たりにしたとき、私はどうなるだろう。

 生々しい想像が脳裏に過ぎり目を眇めて足下に視線を落とした。