「まだなにか?」

 険(けん)のある物言いに老婆は鼻で笑う。

「なかなかの面構えだ。あんた、イイ男になるよ」

「へ?」

 ニヤリとされ、少年はいぶかしげな表情を浮かべながら店を出た。

「どうした」

 車で待っていたベリルに問いかけられ、店での事を説明すると彼は口の端を吊り上げて小気味よく笑みをこぼす。

「からかわれたのさ」

「あんのババァ」

 怒りで体を震わせるダグラスの手からカードとメモを取り、端末から金を振り込むと車を発進させた。