軽く睨まれたような気がしたがまあいいかとしばらく待っていると、老婆が布製の小さなバッグを抱えて現れた。

「はいよ」

「ありがとう」

 ダグラスの笑顔に目も向けず、老婆は小さなメモに何かを書き記して少年にぶっきらぼうに差し出す。

「なに?」

 見ると、それには金額が示されていた。

 なんだよ、言えば解るのにとダグラスは少しムッとする。

「待ちな」

 老婆はバッグを持って去ろうとしたダグラスをぶっきらぼうに引き留めた。