クラウ・ソラスの輝き

「警官なら八千で済む」

 ミハエルに視線を送ると、彼はそれに目を丸くして苦笑いを浮かべた。

「おいおい、警察が傭兵の指揮で動くって?」

「住民が困っているのだぞ」

「う──っ」

 ベリルのひと言に声を詰まらせ感情の読み取れない瞳をしばらく見つめたあと、溜息を吐きつつ携帯端末を手にした。

「あ、部長。折り入ってお話が──」

 通話相手と言い合っているミハエルの様子を眺めていると、ベリルのバックポケットの端末が震えて着信を知らせた。

 電話の相手は先ほどのヤンだ。

 世界の情報を集めてそれを売買している会社の社員で、オーストラリアの情報を仕切っている人物である。

「そうか──うむ。すまんな」

 通話を切り、バックポケットに仕舞いながらミハエルを遠目に窺う。

 彼は十メートルほど先にある乗ってきた覆面パトカーに左腕を乗せてリアクション大きめに未だ上司と言い合っているようだ。