「ねぇ、あのさ――」 「ほら~! 座ってない奴は席に着けー!!」 せっかく勇気を出したのに―― 私の震える声は、数学教師のしゃがれた声にかき消されてしまった。 「……?」 汰一君が、自分の教科書を指差している。 そこを良く見たとき、なんでかドキッとしてしまった。