『約束した時間に遅れよって、しーかーも、襲われそうになったところで(いや正確には襲われたけど、)いきなり出てきよって、そんでもってあたしを襲うとは、どういう神経しとるんやーーーーっ!!!』


ありえへん!

ありえへん!


ありえへん!!!


あたしに突き飛ばされたアレイシスは、無様に尻餅をついてキョトンとした顔であたしを見上げている。

まぁ、そんな姿もかわいいと思えるんだから、得な容姿を持ったヤツだ。


…と、問題はそこじゃなく、


『てか、……なんで噛んだん??』


そう、それだよ!!


それなんよ!!


『あー――……、そっか。君には効かないんだったね。僕の武器。』


は?武器?


『そう。記憶を消すこともできない、誘惑することもできない。』

『わけわからん。誘惑はせんでええ。しかも記憶を消すっちゅうんはもっての他。』


ふふ、とアレイシスは笑って言った。


『誘惑ができないのは大変なことなんだよ、僕たちにとっては。』


もっとわけがわからんわ。


『僕たち、って?』


そしてアレイシスの瞳がキラリと光る。


『僕たち一族、………













……ヴァンパイアのことだよ。』