「太一が、どうしてもやりたいって言ってね。」


「太一が?」




あたしが太一に視線を向けると、太一は頭を掻きながら言った。





「別に!ケーキ食いたかっただけ!
勘違いすんなよなっ!」





そんな太一の様子を見つめて、フジコさんはこっそりと小声で言う。



「照れてんだよ。卒業しても遊んでもらえるって、あれで喜んでんだから。」




フジコさんの言葉に、思わず笑みが零れる。



「太一っ!」


「なんだよっ!おわっ!?」




太一の頭をくしゃくしゃにする。


「やめろよぉ!変態!!」




抵抗する太一。


それでも、構わず髪を掻き回すと、太一の頭は鳥の巣のようになった。






「可愛い、可愛い。」


「うるせぇなっ!」






ジャレ合うあたし達を、フジコさんはふっと微笑んで見つめていた。