「あー…あちぃー…水飲みてぇ。」
「タオルくれー!」
マネージャーに向けて次々に言葉が投げられる。
稲本さんはそれを言われるとわかっていたかのように先に準備していた。
「はいはい。わかってますよー。」
はい、はい。と要望に答えていく。
一人しかいない分すごく大変なはずなのに…。
全部を慣れた手つきでこなしていく。
すごい…。
そんな姿に見とれていると…。
「おい、そこの女。誰に見とれてんだよ。」
「ハァ!?」
柵から顔をのぞかせ、下を見ると…神谷がこちらを見上げてみていた。
「逃げなかったんな。」
片方だけ口角をあげる。
「どういう意味よ!逃げるなんて。」
「いや?行きたくないっ。とか言ってこないかと思ってた。」
…行きたくないって思ったわよ!!!
