でも…それぐらいの価値があるんだ。あいつは。
簡単に手に入るものじゃない。
これぐらいのこと乗り越えられなくてあいつと付き合っていいわけない。
って…勝手に俺の中で思ってー…。
「ほぉ~?いいじゃねぇか。その条件、飲んでやろーじゃねぇか。ただし、勝てなかったらお前ら、高校卒業するまで付き合うな。部活に集中しろよ。」
そう言い残して、他の部員と練習し始めた。
ハァ…とため息をこぼし、その場にしゃがみこむ。
「おい…俊。お前…あんな条件出してよかったのかよ…!簡単に勝てる相手じゃないんだぞ!?ってか…俺もあそこに勝たなきゃ葵ちゃんともう付き合えないじゃん!!!」
うわぁあああんと泣いた真似をする雅人。
「がんばりゃいいじゃん。」
まぁ…俺もさすがに…厳しすぎる条件だと思ったけど…。
簡単に勝てる相手だったら、あの先輩は納得しないだろうし…。
ああいうしかなかったっつーか…。
とにかく、雅人…すまん。
「うわぁ…。んまぁ…約束しちゃったもんはしょうがないし…。2人でレベルアップ目指すか。」
雅人もやる気になってくれた。
その日の練習はいつも以上に積極的に取り組んだ。
その姿に粟木先輩も納得したようで、機嫌が良かった。
でも…あの条件の前に…俺達は大きな試練があった。
