桜の見える丘(仮)


「えっと…なにが言いたいんっすか…?」


悪そうな笑みを浮かべたまま、自分の中で何かまとまったような顔をしていた先輩に雅人はたまらず聞いてしまったようだ。


「いやぁ~?お前ら…その彼女のせいで部活に集中出来てねぇよなぁ…?」


「そんなことないっすけど。」


ふぅ…と小さくため息をついて俺は言う。


だって嘘じゃねぇし。


ってか、集中出来てねぇどころか…あいつにやる気もらってるっつーの。


「は?なに嘘ついてんだよ。まぁ、自覚なんて出来ねぇんだろ?だから周りから言ってやってんじゃねぇか。」


いい加減にキレそうだ…。


すると、ひじで横っ腹をつつく雅人。


アイコンタクトで会話する。


『んだよ。』


『お前…間違っても先輩に文句言うんじゃねーぞ?』


『は?んなのもう限界なんですけど。まじキレそー。』


『顔。顔に出てるから!!少し我慢しろって。』


目だけでこんなに会話出来んのかって思うけど…小学生からの仲だしな。


雅人に言われた通り…キレそうなのを抑えて…先輩からのムカつく言葉も頑張って受け止める。


だけど…そんなことを言われるとは思わなかった…。


我慢していた俺でも…これは我慢ならなかった…。


―――――――お前ら、彼女と別れろ。