「んま、いいよ!!まず…わかってることは、バスケ部には"ある決まり"があるってこと。」


小さなノートを開いて1ページ目にさらさらと文字を書いていく。


キレイで大人っぽい字なのに、少し可愛さもある葵の字。


「葵…字、キレイだね…。」


「え…そう?ありがとう…。って!!そんなことはどうでもいいの!!次…知ってることは?」


「他に…?んー…あ、"決まり"って男子の部員しか知らないみたい。稲本さん知らなかったし…。マネージャなのに。」


私の言葉をすらすらとノートに書いていく。


「もう、他にはない?」


思いつくこと…特に何もないような気がするけど…。


なんかそれっぽい出来事でも言っとくか。


「"決まり"と関係あるかは分かんないけど…、神谷も柏木君も全然元気なかったんだってー。練習に身が入ってなかったらしい。でもね、先輩が何かその2人に言ったとたん急にやる気出したらしくてさ!たぶん…先輩が関係してるんじゃないかなぁって思う!!それに、入口で練習見てる女の子はいいのに…なんか私にひどいことばっか言う先輩いるんだよねぇ…。そっちの女にも言えよ!とか思ってさ―…。」


最後の方はまたあの先輩の愚痴になっていたけど、それはいいや!!


「ふぅん…。今わかってることから考えると…"ある決まり"は先輩達に関係ありそうだよね。あくまでも私の考えだけど…うかれてる後輩を見て、集中しろ!ってことで…別れろ。とか言われたとか…?」


小さなノートをシャープペンシルでトントンと叩きながら…本当にそうじゃないのかって思うようなことを言っていく葵。