体育館の方から走ってきたのは稲本さん。
「どうしたの?」
「いやぁ…美姫ちゃんにさ…余計なことしなくていいって言われたんだけど…。ひとつだけ言っとくね!!!なんかね、大事な試合前になると…バスケ部の先輩たちが決めた『決まり』ってのがあるみたい!!それで…今日は柏木君も元気なかったんだけど…、先輩が神谷君と柏木君を呼んでて…なんか2人に言ってたみたいなの!!それじゃぁ…2人とも急にやる気だしちゃってさ!!今までの姿はなんだ!!ってぐらい張り切って練習し出して…。」
なんか…走ってきたにもかかわらず、息ひとつ切らさずぺらぺらと滑舌よく話していく。
「とにかく!!別れなきゃいけない理由って…『バスケ部の決まり』にあるみたいだよ!!」
バスケ部の…決まり…。
これに、別れなきゃいけなかった理由があるんだね…。
「私、余計なこと言ってない?ペラペラしゃべっちゃってるけど…。」
「ううん!!余計じゃないよ!!ありがとう。わざわざ…走ってきてくれて。」
「いやぁ!!いいよいいよー!!全然OKー!!役に立ててよかったよ!!じゃっ、また明日ね!!」
体育館の方へダッシュしていく…。
すると急に走っていた足が止まり、こちらにくるりと向いた。
「大事なこと言うの忘れてたーーー!!!伝言ー!!!『練習終わるまで待ってろ。』だってー!!!それじゃぁ!!!」
止めてた足を再び動かし、体育館へ入って行った。
