桜の見える丘(仮)


神谷と話をするためには…まずこの(女子)の山を越えなくては…!!!


「よしっ!!!!」


とぉ!!!と隙間を通って、ずんずん前に進む。


「ちょ、割り込みやめてよっ!!!」


と…はじき出されてしまった。


「いっつー…。」


尻もちをついてしまった…。


立ち上がり、砂のついてしまった制服をパンパンと払う。


「ここは…ダメだな。違うドアにしよう。」


そう考える人は…私だけのはずもなく…どのドアにも女子がいっぱい。


「ここも…あそこも…あっちもダメ…。」


あああー!!!もう、話すことすらできないの!?


走り回っていたせいで暑くなってきた…。


太陽の光をさえぎる場所を探して座りこむと…。


体育館の換気をするための足元しか見えない窓があった。


周りには誰もいないし、ここなら!!!


少ししか開いていない窓の隙間から神谷を探す。


「うー…顔見えない…。」


コートいっぱい使って、キュキュと音を鳴らしながら、ボールを操るバスケ部の人達。


みんな練習に集中しているのに、ダンダンと足音を鳴らしながらこの窓の方に近づいてくる人が…。