桜の見える丘(仮)


「葵ちゃん…。俺も…まじで葵ちゃんのこと好きだからっ!!!」


あー…なんだこれ。


目の前で…イチャイチャ、イチャイチャ、イチャイチャ!!


駅まで着くのにあと10分ぐらいある。


10分もこのイチャイチャしてる2人を見とかないといけないのか…。


「「ハァー…。」」


神谷も私と同じことを思ってるんだろう。


同じタイミングで、深いため息をついた。


でも…実際うらやましいのは確かで…。


この2人こそカップルって感じだし…。


それに比べて…私たちはなんだ。


喧嘩して…嫉妬して…泣いて。


いろんな意味で辛いじゃないか!!!


でも…辛い思いをした後には…かならず良いことがあった。


少しずつ神谷のこと知って…そしてもっと好きになった。


葵達みたいにスタスタ恋の道を歩くことはできないけど…。


私たちは私達なりにマイペースに歩めばいいよね。


そう思っていたら…片方の肩がずしっと重くなった。