桜の見える丘(仮)


「あっ!!!私…上着きてくるの忘れちゃった…。ちょ、とってくるね!!すぐ帰ってくるから待ってて!!」


葵は私にうきわを渡して脱衣所まで走って行った。


神谷も柏木君もまだ来てなくて…海水浴に来た人が大勢いる。


こんな人いっぱいのとこに一人って結構さみしい…。


早く誰かきてよぉお!!!


ポンポンと肩を叩かれて、神谷達かと思って振り返る。


「かみっ…」


「あれ?ごめんねぇ。お望みの方じゃなくって。」


そこには見知らぬチャラそうな男2人組…。


なに?このよくあるパターン。


「誰か待ってんでしょ?可哀想に~。こんな可愛い子一人で待たせるなんて…危ないじゃん。」


あなた方。ナンパする相手間違ってませんか?


他にしてほしいって感じの女の子いっぱいいるじゃないか。


なんであたしなんだよ。ってか、可愛くないし。


「別に。可愛くないですし危なくもないです。」


「そんな冷たくしないでよ~。俺達もえちゃうじゃん?」


…気持ち悪っ。そのもえるって″萌える"なのか"燃える"なのか…。


どっちにしろ気持ち悪さが増すだけだ…。