「あ、もうすぐ仕事終わるから送っていくわね!もう少し寝てて~。」
先生はあせあせと書類のようなものを片付けている。
すると…
――――――ガラガラ…
誰かが保健室のドアを開ける音がした。
今の時間なら…部活で怪我した子だろうな。
と、思っていたら…聞きなれた声がした。
「あの…前沢いますか?」
「あらー!神谷君。もう部活終わったの?お疲れ様ぁ。前沢さんならそこにいるわよ。もう起きてるから。」
先生!!起きてるとか言ったらダメじゃん!!
今は…顔みたくないんだよ…ひどいこといっぱい言っちゃいそうだから…。
シャーとカーテンの開けられる音。
私は顔が隠れるぐらいまで布団をかぶる。
「…大丈夫か?」
心配そうに声をかけてくれる。
でも…私は答えない。いや…答えられない。
口を開けば…きっとひどいことを言うだけだ。
「…。」
神谷も黙りこむ。
ベッドの横に置いてある椅子に腰かける音がした。