桜の見える丘(仮)


「バッ…!!んなわけないでしょ!!」


腰に手を回して自分の方にグっと寄せられる。


「そんなぁ~…正直になれって。誘ってんだろ?」


顔がだんだん近づいてきて…


もう、キス出来ちゃうんじゃないかって言うぐらいのところで止まった。


「あいつに…でこにでもだ。キスなんか…されてんじゃねぇよ。」


「…っん!」


そう言った後…私の唇に、なにかあたたかく柔らかいものが当たった。


小さくチュッとリップ音がして、私の唇から離れていった。


なにが起きたのか…わからなかった。


停止した頭をフル回転させて…やっと理解できた。


キ…キスされた…っ!!!?


「お前のファーストキスはもう俺のもんだ。」


そう言って勝ち誇ったような顔をして私を見た。


そうか…神谷はこれが『素』なんだ。


本当の神谷は…私にしか見せてないんだよね…?


私が勝手に思ったことだけど…本当にそうなんじゃないか…と思った。


だって…自分から私にキスしといて…顔、赤いんだもん…。