桜の見える丘(仮)


「ないないないない!私のことなんて、全然わかってな…!!!」


私の言葉が…途中で出なくなる。


私の体の熱なのか…それとも…神谷の腕の熱…?


そう…私は…。


なぜか、神谷の腕の中にいるのだ。


「わかってる。前沢は俺のことを知らなさすぎだ…。」


「なに…が…。」


いっそう私を抱きしめる力が強くなる。


「俺は…お前が好きなんだよ…。」


「…ぇ…?」


私の耳元で…低く囁かれた声は確かに言った…。


『お前が好きなんだよ…』


その言葉の意味を…簡単なのに私は理解が出来なかった。


「うそ…でしょ?」


「嘘なんかじゃない。だから…お前は俺のことを知らなさすぎる。言っただろ?」


「嘘だ…。嘘でしょ…?あはは…そんな嘘…」