桜の見える丘(仮)

お前、嘘つくの下手だな。なにかあるんだろ~?言えよ。」


「い…いやいや!何もないから!うん。」


「あるだろ?俺にはわかるって。」


余裕に返事を返してくる。


こっちは必死だってーのに!


「なんにもないー!何がわかるって!?」


「ないわけない。お前の全部を俺はわかってる。」


私の方をちらりとも見ず、日差しが照りつける運動場の方を見る。


なんでこんなに冷静でいるのさ。


「ないったらないー!私のなにをわかってるって言うのさ!どーせ、何にもわかってないくせに。」


口調がだんだん強気になってくる。


「前沢の全部。俺は知ってるよ?お前は、俺のこと何にも知らないみたいだけどな。」


プチッ…


なぜかはわかんない。


でも、何かが切れる音がした。


「わかってないでしょっ…!!」


つい、大声を出してしまった。


その声で、こちらをちらちらみる他の生徒たち。


「はぁ…。移動すっぞ。」


神谷は立って私の腕をつかむ。


「ちょっ!どこ行くの!?離せぇぇええ!」