桜の見える丘(仮)


「あ、あっちの影いいじゃん。あっちいこーぜ。ここ人多いし、余計に暑い…。」


「あっ、うん!行こっか!」


太陽の日差しのせいなのか…それとも…神谷といるから…?


すたすたと影のほうに移動し、そこで腰を下ろす。


「ふぅ~…。少しは涼しいかな~。なぁ?前沢。」


「え?あぁ、うん。」


「おまえ、何立ってんだよ。ほれ、ここ座れ。」


自分の横をポンポンと叩き、座る場所を示す。


よっ…よこなんて!!!


「はやく来いって。」


「~~~っ。」


行きたいけど…恥ずかしいし…。


あぁああああ、んもういいや!


ストンっと少し離れ気味のところに腰を下ろす。


「前沢。」


「ひゃい!」


いきなり名前を呼ばれたことで…変な返事をしてしまった…。


「さっき、俺に何か言うことあったんじぇねぇの?」


ギクッ!!


「いや…別に。なっななにもないよ!?」


ときどき裏返る声が、妙に怪しい…。