「ただいまぁー!美姫みたぁ?一位だったよ!!」
笑顔で帰ってくる葵。
その葵に両手を広げて走って抱きつきに行く。
「キャぁ!美姫、ちょ!あぶないし!倒れるかと思った(笑)」
「あは!ごめぇん。でも、葵すっごい早かった!!かっこよかったよぉ―!!」
「ほんと?照れちゃうじゃん!」
へらっと葵の顔が緩む。
「あぁ!!!」
急に大きな声を出す葵。
「な…なに!?どうしたの?」
「ほら!次、神谷じゃぁーん!応援、しなよ!」
頭にぐっとはちまきを締めている神谷の姿が目にうつる。
「…で…でも。」
「でもじゃないでしょ!同じチームなんだし、応援ぐらい普通だよ!」
そうだよ…。なのに…なんでだろうなぁ。
応援するぐらい普通なのに…声がでない…。
『200メートル走が始まります。選手の皆さんは入場してください。』
入場門で待っていた選手たちがぞろぞろとグラウンドに集まっていく。
たくさん人がいるはずなのに…私の目はすぐに神谷を見つけてしまう。
