桜の見える丘(仮)


「キャッッ!」


ガバッっと後ろから誰かに抱きつかれる。


そこには…笑顔の男の人。


私は、急いで逃げた。


「あぁー、なんで逃げんの?そんなに…俺…嫌やった?」


悲しそうな顔をして、私に話しかける。


「だっ…だだだだって!私、あなたのこと知らないしっ!」


「あぁー、ごめん!俺は、坂本健吾。関西から引っ越してきてな、友達…おらんわけちゃうけど、あいつから美姫ちゃんのこと聞いててな。友達なりたい―!って思ったわけ。」



あいつ、と言ったときに指差す坂本という人。


その先には、神谷がいた。


「え…?神谷から?」


「んー、そうやけど…なんで?」


「いや…なんか、あんまり友達のこととか話しそうな感じしないから…。」


「確かに。俺もな、美姫ちゃんのこと聞いたの一回だけやし、他の奴のこともあんまり聞かん。」


でも…私のこと…なんて言ってたんだろ。


「あのっ…坂本君。」


「健吾でええよ。健吾。下の名前で呼んで!」



「え、あぁ…うん。じゃぁ、健吾君。あのね、神谷…私のことなんて言ってた?」


「あぁー、なんかめっちゃ方向音痴の女おるって言ってたわぁー。なんか、日直も毎回一緒にやらなあかんから面倒とか…。」


…聞くんじゃなかった。


なんなの!?全部やなことばっかじゃん!