葵の顎をくいっとあげて…。
「いい加減、素直になれよ?」
と、低く囁いて教室を出て行く。
あぁー、見てるこっちが恥ずかしいわ。
教室の中にいるみんなが見てたし。
その場を動こうとしない葵は顔真っ赤。
はぁ。葵…好きなんだねぇ。柏木君のこと。
「葵。」
「えっ!?」
「あは。いやぁ…べっ別になにもないんだよ?好きでもないからね。あはは。」
目が泳ぎまくり。
「うん。なんにもないよね!」
今の段階でおちょくったら葵が怒りそうだからやめとこぉ。
―――ピンポンパンポーン
『一年生のみなさんは椅子をもって運動場に出てください。繰り返します...』
放送が入る。
あぁ。もう、そんな時間か…。
