「あ、えっと……」
「「………」」


無言……
というよりも唖然……


「な〜に黙りこんじゃってんのよ」
「いや、」
「天使だ……」
「は?」
「まさに天使!! 君こそ俺の…」


ガシッ!!


「竜く〜ん? な〜にしてるのかな〜??」
「あ、えっと…」
「ま、わからないこともないけどね。この子はあたしの今までの人生の中でも一際可愛いからね!!」
「……」
「ところでいち、どうして無言かな? もっとこぅ、何か言おうよ」


話したくても言葉が出てこなかった
目の前の生き物はこの世のものとは思えないほどだった


「あ、萩華なにしてんのよ?」
「慧ちゃん、萩聞いてないよ…?」


後に自己紹介してわかったことだが、この子は志島 萩華(しじましゅうか)というらしい
慧とは学校が同じだから知り合ったとか


「えっと、裕一君ですよね?」
「ん、あ?」
「ご、ごめんなさい!!」
「は!?」


なんでいきなり謝ってんだ!?
俺何もしてねぇだろ
初めてあった時からそうだが、萩華の行動にはパターンというものがなく、いつも驚かされてばかりだった


「いや、なんで謝ってんの?」
「えっとなんとなく怒ってる顔してたから……」
「いち、眉間のし・わ!!」
「あ、あぁ…べつに怒ってる訳じゃねぇよ」
「そうだよ〜。コイツはいっつも無愛想だから気にするだけ無駄…」


ボコッ


「ってぇ!!! なにすんだよ!!?」
「お前がうるせえから黙らせてやったんだ」
「んだとぅ!?!?」
「二人とも!!! いい加減にしないと痛い目見るよ??」


ヒュォォオ……


今一瞬、南極並の背筋を覆う風が吹いた
それも殺気を含んでいたような…