「彼女が、好きなんですよ」

一瞬、周りの音が消えた。

セミのうるさい声も、何もかもが、全て消えた。

杉里さんが美波さんのことが好きだなんて…。

「へ、へえ…」

俺は、それだけしか返事できなかった。

「彼女、明るいじゃないですか?」

「あ、そうっすね…」

俺はあいづちを打って笑うのがやっとである。

「彼女の明るさに救われたんです」

「えっ…?」

救われた?

それは一体、どう言う話なのだろうか?

「リコさんに恋をしてたんです」

そこに突然のようにリコちゃんが出てきたことに驚かなかったし、疑問も感じなかった。