ウソだと思いたい。

まさかだと笑いたい。

俺が弥生に抱いているこの気持ちを否定したい。

ましてや、彼女と血縁関係があるかも知れないって言うのに。

まさか、俺が弥生に恋をしているなんて――。


セミがうるさい小さな公園の日陰になっているベンチに、俺は1人で座っていた。

「――バカかよ…」

自嘲気味に俺は呟くと、息を吐いた。

こう毎日暑さが続いていると、誰も公園にこないんだな。

「ふうっ…」

あー、アイスが食べたい…。

入道雲は、まるで綿菓子のようである。

どこまでふくらむんだ、あれ。

そんなことを思っていたら、
「増田さんのところの弟さんじゃないですか?」

誰かに声をかけられた。