「と言うか、あの人って杉里さんじゃない?」

「えっ?」

美波さんが指を差した方向に、俺たちも視線を向けた。

異色と言っても過言ではないくらいの爽やかな空気がそこにあった。

間違いない、あれは杉里さんだ。

その空気とその顔を見間違うはずがない。

「ウソ…!」

彼の姿を目にしたとたん、弥生は手で口を覆い隠した。

今、絶対に自分の格好を目の当たりにしただろうな。

着なれたTシャツに洗濯のし過ぎで色あせてしまったジーンズと言う自分の格好に心の底から後悔をしていることだろう。

「大丈夫、似合ってる」

美波さんが慌ててフォローをするけれど、焦っている感があり過ぎだ。

そう思っていたら、美波さんがツンツンと俺のわき腹を肘でつついてきた。

えっ、俺もするの?