そんなどうでもいいことを思いながら、
「この辺に『居酒屋ますだ』があると思うんだけど、知ってるかな?」

俺の質問を聞いた彼女は、驚いたと言うように大きな目をさらに大きく見開いた。

えっ、何で驚いたの?

すると彼女が、
「それ、あたしの家です」
と、言った。

えっ、アタシノイエ?

俺の聞き間違いじゃなければ、彼女はそう言った。

「家って、『居酒屋ますだ』が君の家なの?」

確認のために聞いたら、
「ええ、そうですけど…?」

彼女は返事をした。

やっぱり、俺の聞き間違いじゃなかった。

確かに、彼女はそう言った。