「だいたい、“親父”なんて店にくる男性客は全員呼んでるよ?

嵐もお客の1人くらいしか思ってないんじゃない?」

「はっ?

俺、お客なのに住んでる訳!?」

「そうするように言ったのは、あんたでもあり、あんたのお母さんでもあるのよ?」

「んだよ~」

俺はため息をつくと、わしゃわしゃと頭を乱暴にかいた。

「ま、せいぜい頑張んなさい」

「冷たいな、弥生は。

一応だけど、俺の姉貴なんだろ?」

「まだ決まった訳じゃないでしょ?」

ギャイギャイと2人で言いあいながら歩いていた時だった。

「あ、弥生ちゃん」