「はい、ふとん」

持ってきたばかりのふとんを彼女は畳のうえに置いた。

「うん、サンキュー」

カバンの中から荷物を出しながら、俺は言った。

「本当に住むのね」

彼女が言ったので、
「ああ?

そりゃ、住むに決まってんだろ。

行くところなんて他にねーし、あいつに息子だって認めさせてやるし」

俺は言い返した。

「ふーん」

「何だよ、反対かよ」

「別に。

お父さんが決めたなら、あたしは何も言わないわ。

犬を1匹飼うことになったって思えばいい訳だし」

「犬って…」

動物に例えられたことに少しムカついたが、黙っておくことにした。