春も嵐も

笑った後で親父は腰をあげると、
「帰るぞ」
と、言った。

「帰る?」

「家に帰る以外何がある」

「だよな」

俺も腰をあげた。

「ちゃんと弥生を幸せにしろ」

親父が言った。

それって、
「俺と弥生の結婚を…」

「自分の娘と息子になるヤツの結婚を認めない親がどこにいるんだ?

嵐は、俺の息子だ」

何回も聞いたセリフなのに、泣きそうになる俺は本当に涙もろい。

「親父」

「んっ?」

「…俺、あんたの息子でよかった」

そう言った俺に、
「当たり前なことを言うな」

親父は照れくさそうに笑った。