春も嵐も

俺が呼びかけると、親父が振り返った。

「嵐…」

俺は首を縦に振ってうなずくと、歩み寄った。

親父の隣に腰を下ろすと、
「小学生の落書きみたいな地図で、ここだってことがわかった。

気づいたのは弥生だったけど、とにかくわかった」

俺は言った。

親父は、何も言わない。

「親父がここにきたのは、思い出の場所だからなんだろ?」

俺がそう言ったら、
「反対してる訳じゃないんだ」
と、親父が言った。

「嵐と弥生がつきあっていたことは、前から気づいてたから」