春も嵐も

弥生がジッと、紙を見つめている。

「どうしたの?」

急に真剣になった弥生に、俺は聞かずにいられなった。

「もしかして…」

弥生が言った。


十字架が俺たちを見下ろしている。

俺と弥生が地図を頼りにして訪ねた場所は、街の外れにある小さな教会だった。

「ホントに、親父がいるのか?」

十字架を見あげながら、俺は隣の弥生に聞いた。

「あたしの読みが間違ってなかったら、そうだと思う」

「思うって…」

曖昧なのもいいところだ。

「それに、ここ…お父さんとお母さんが結婚式をあげた場所だから」