春も嵐も

藤見父は革張りのソファーを指差すと、
「そこに座りなさい。

使用人にお茶とお菓子を持ってこさせるように伝えておくから」
と、促してきた。

「いいえ、本当に結構です」

俺は首を横に振った。

「今日おうかがいしたのは、商店街売却についてとあなたのことです」

「はて、それは一体どう言う意味なんだ?」

俺は首の後ろに手を伸ばすと、ペンダントを外した。

つきあっていた当時、藤見父が母さんにプレゼントしたペンダントを彼の前に差し出した。

「これを、あなたにお返しします」